2018年9月1日土曜日

2018年8月26日~30日【三重大学 自然環境リテラシー学】海に学ぶシーカヤック実習

昨年のモデル実習の成果をもって、本年度から三重大学生物資源学部の正式科目となった「自然環境リテラシー学」に、今年もシーカヤック講師として関わらせていただきました。


今年は受講希望者が殺到したため選抜式となりましたが、1人でも多くの学生さんたちに来て欲しいという想いから2回実施することになりました。
1回目は8月26日からスタート。

初日はシーカヤックではなく、自転車、ハイク、シュノーケルを使った南三重で活躍するアウトドアガイドのアクティビティを体験し、夜は三重大学のサテライト学舎でもある「天満荘」に宿泊、講義もしました。


27日からシーカヤック実習開始です。
開催にあたり、尾鷲海上保安本部より海でのアクティビティにおける注意点を説明していただきました。


「自然環境リテラシー学」はシーカヤックを漕ぐことを上達させるための実習ではありません。
シーカヤックはあくまで教材であり、海を感じ、自然環境を知り、それを人へ伝えられるスキル=リテラシーを身に付けるための実習です。

こうしてライフジャケットを着て海に浮かぶことも学びなのです。


もちろんシーカヤックを使う実習なので、基本はしっかりと体得してもらう必要もあります。
漕ぐ技術だけではなく、レスキューの技術もみんなで学びました。


食事は学生たちがチームに分かれて調理します。
こちらは流しそうめんの樋を準備しているところ。

竹を切ったり、足を組んだり、ここでも学びは多かったはずです。
もちろん楽しいですしね♪


夕飯の後、毎晩2時間近い講義があります。
テーマはシーカヤック旅の報告から、フューチャーアース学について、そして南三重エリアで活躍しているアウトドア事業者の皆さんの話など、分野も多岐に渡りました。


今回のお宿となった天満荘から海岸までは1kmほど。
そこを毎日歩きます。


ある日、地元の子どもたちが来て、一緒にカヤックを漕ぐことになりました。
そこで、学生のみんなにライフジャケットの着かたなどをレクチャーしてもらいました。


小学生の子どもを相手に基本的な漕ぎ方の説明もしてもらいます。

こうして「教える」というのは、自分が教わり出来るようになるだけではなく、もっと深くしっかりと身に付け、理解していないと難しいものです。
まさにリテラシーとはなにかを考えてもらえるきっかけだったのではないでしょうか?


シーカヤック講習の間、お昼ご飯はこんな感じでお弁当を食べました。
おかげ様で連日好天に恵まれ、むしろ熱中症の心配もあったので、水分補給はもちろん、日焼け対策、日除けなど、万全の体制を整えて臨みました。


ある程度漕ぐことに慣れてきたらセルフレスキューも練習しました。
こちらは馬乗り再乗艇。

全員が成功できるまでトライしていました。


講習ではミニツーリングもしました。
ちょっと漕ぎ出せば人跡まれな浜辺がいくつもあるのが南三重の海域=熊野灘の特徴です。


実習4日目。
天満荘を後にし、尾鷲市の飛び地である須賀利の町を目指して出発しました。

総勢20艇を超える船団なので、フォーメーションを組んで漕ぎます。


途中上陸休憩をした浜で地図とコンパスの使い方を学びます。

見えている景色を地図上で確認し、今、自分たちがいる場所を確認する作業。
この基本がしっかり出来ないと、これから向かう場所へと自分たちだけで漕ぎ出すことはできません。


湾を横断し、岬を超え、入り江の奥へと漕ぎ進むと、やっと須賀利の町並みが見えてきました。


無事上陸し、網干場でのんびりします。

スイカを差し入れていただいたのでスイカ割り!
外野のアドバイスの多さと適当さを目の当たりにし、「船頭多くして船、山に上る」ということわざをしみじみと実感しますね。笑


午後、海岸清掃を実施しました。
須賀利に泊まらせてもらう一宿一飯の恩義ということだけではなく、浜に打ち上げられているゴミを知ることも学びでしょう。


須賀利での宿泊は「株式会社ゲイト」さんが管理している民家に分宿し、夜は水揚げされた魚を使ってアイデア料理を学生たちと作っていただきました。
写真はイワシのアヒージョ(オイル煮)です。


この夜は須賀利の方々もお招きして、夕食交流会を催しました。
夜の講義も公開し、また、地元の方々と学生たちも食事を楽しみながら交流を深めることができました。


最終日の朝。
パドリング用の服に着替え、スプレースカートを履き、ライフジャケットを着るという姿もすっかり板についてきましたね。


昨日とは違う編成でフォーメーションを組み、漕いでいきます。
湾の横断もいいですが、こうして岸近くを漕ぐほうがずっと面白いものです。


小山浦に入ると僕にとっても馴染み深い景色になりました。(釣り竿を持たずに来る機会はほとんどないですが笑)
ゴールの銚子川まであと少しです。


と、河口の様子が見え始めると、白波が。
どうやら簡単には通り抜けられそうもありません。


河口の流れの速いところをなんとか漕ぎ上がり、銚子川へ。
海とは違う透明度、水温、そして流れ。


そうして無事にゴール。

みんなで協力してカヤックを岸に上げていきます。
辿り着いた後の作業がたくさんある、というのもシーカヤックならではですね。


片付けを済ませ、川でさっぱりした後、振り返りをしました。
講師陣はもちろん、学生一人一人にもこの実習で学んだこと、感じたことを話してもらいました。

こういうのを聞くとちょっとグッときますね。


マイクロバスに乗り込む学生たちを見送り、実習終了。

5日間という限られた期間で学生のみんなが海から様々なモノ、コトを学ぶ場を作ることができるかが僕たち講師陣のミッションです。
彼ら彼女らの報告書を待ちわびながら、来週から始まる第2回目の実習に備えたいと思います。


受講してくれた14人の学生のみんな、本当にありがとね!
また海で会える日を楽しみにしています。



【2018年度 自然環境リテラシー学】
第一回目 8月26日~30日

主催 三重大学生物資源学部共生環境学科
後援 三重県、尾鷲市

実習実施担当責任者 坂本竜彦 教授
実習実施担当教員 坂本竜彦、飯島慈裕、万田教昌、山田二久次
     研究員 山本康介

シーカヤック講師 内田正洋(サンドウォーカー)
         柴田丈広(アルガフォレスト)
         森田渉(シーカヤックステーション小山ハウス)
         本橋洋一(サニーコーストカヤックス)

アクティビティガイド 西井匠(地域資源バンクNIU):サイクリング
           福田晃久(ウッドペック):ハイキング
           森田渉(シーカヤックステーション小山ハウス):スノーケリング

協力ガイド 野田綾子(Verde大台ツーリズム)
      伊藤庸司(語らいの里 噺野)
      山本啓太(キオラパドル)
      植野めぐみ(旅のアトリエ・ちきゅうの道)




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