2014年12月31日水曜日

伊勢の注連縄飾り

年の瀬。
サニーコーストカヤックスの事務所にお飾りしていた注連縄を付け替えました。

新旧の注連縄飾り

一年間お世話になった注連縄飾り。
雨にも負けず風にも負けず、春夏秋冬を経てボサボサになりました。

この注連縄飾りはいわゆる正月飾りではありません。
なので一年を通して玄関先にお飾りします。
けっして伊勢の人たちがのんきで正月飾りを付けたままにしているわけではありません。
ちゃんと云われがあるのです。

木札の拡大


中央の木札には蘇民将来子孫家と書かれています。
この蘇民将来さんは、アマテラスさんの弟神であるスサノオさんが伊勢の国に旅した折、その日の宿に困っているところへ貧しいながらも気前よく親切に歓待し、その後大いに栄えたという伝説にちなんだものです。
これは単純に招福という意味合いだけではなく、我が家は旅人にやさしく来る者拒まずやに~という意味も含まれているんじゃないかなあと思っています。

新しいお飾り。来年もよい年でありますように・・・


注連縄飾りは大晦日より前に掛け代えるものといわれています。
大晦日に飾ることを一夜飾りといい、せっかく年神さんをお迎えするのに前日にバタバタと替えるのはちょっとねえ、とされています。
ちなみに掛け替えたのは26日。
このお飾りする日取りは諸説あり、29日もあかんなど色々あるようなのですが、今年はたまたま無難な日に付け替えられたようです。


2014年もあと一日。
皆さまはどんな年末を過ごされているでしょうか。
どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
それではまた来年もよろしくお願いいたします。


2014年12月29日月曜日

2014年、竿収め

年の瀬も押し迫った好日、いつもの愉快なJSCA公認指導者の仲間たちとカヤックフィッシングに行ってきました。

場所もいつもの三木里。
今年最後の釣りにふさわしい小春日和。

最後の最後に釣り上げたオオモンハタ


朝7時に集まったのは我が師匠パドルコースト吉角さん、釣りと言ったらこの人RAINBOW三河湾シーカヤックスクール中谷さんとスタッフのサエミちゃん、尾鷲の若大将こと小山ハウス森田さん、そして初参戦のリンエイ池田さん。
池田さんはfeel freeカヤックの輸入をしていて、この6月にベーシックインストラクター検定に合格、来春には浜松市内にカヤックショップをオープン予定とのこと。

東海エリアのJSCA仲間も増えてきて、釣行もますます楽しくなってきましたねえ。
も、もちろんシーカヤック研鑽のための研修です。笑

さて。
朝もやの漂う三木里の海へと離陸。
太陽はまだ山の端に隠れていました。

三木里の夜明けの海に湯気が立ちのぼる


過去、戦績のいい鯛ラバでファーストキャスト。
潮が止まっているのか潮目も見分けにくく、朝まずめはしぶいスタートとなりました。
ぽつぽつとアタリはあるけど食いついてくれません。

他のみんなもエソくらいしか上げられず、それではと沖へと漕ぎだします。
人より遠くへ、人より深場へという心理のなんと浅はかなことでしょう。
それでも沖へと漕いでいくおじさん6人でした。

今回、僕が使用したカヤックはパドルコースト製「ザサ ツーリング」。
2014年のニューモデルで、初心者から中級者、そしてコマーシャルツアーのレンタル艇としても活躍してくれるオールマイティなシーカヤックです。
初期安定性も高く、コクピットが広いのでカヤックフィッシングにも十分対応できます。
オプションでロッドホルダーを付けることもできますが、こちらは試乗艇のためノーマル仕様でしたが、海上ではほとんどストレスを感じることなく釣りに専念することができました。
(ちなみに竿はライジャケに挿し、クーラーボックスはやめてソフトクーラーバッグをコクピット奥に入れたりしました)

一番のメリットは移動速度でした。
とにかく移動のストレスがなく(そりゃシーカヤックですから当たり前ですが)、ここのポイントがダメならじゃあ別のポイントへ動こう、というのをすいすいすることができました。
シーカヤックの機動力を知っている僕らにするとザサツーリングのスピードは快適そのものでした。

なのですが、、、釣れません。
途中で仕掛けも変えて鯛ラバからジグにもしましたが、アタリすらなくなってしまいます。
お昼を過ぎても上げられず、飽きっぽい僕はもう上陸して待ってよーかなあなどと戦意喪失していました。

吉角師匠や中谷さんはなにやら釣り上げていて、憎らしいことこの上ありません。
それでも一人でいじけるのもしゃくに障るので、浜のほうへ引き返しながらも潮目を見つけては投げてみるというふうにしていると、なにやら異物が水面に見え隠れしています。
何かなあとぼんやり見過ごしているとすぐ近くに現れました。
それは海ガメでした。
三木里の湾の真ん中よりも奥寄りの、そんなに深くもない場所で海ガメに出会えるなんて、ちょっとラッキーです。久しぶりに海ガメ見たなあ、これは吉兆かなあとも思う反面、いや、アイツが食い散らかして魚を散らしているんじゃないかなどとも逆恨み。
どうも僕は竿を持つと人格が変わるタイプかも知れません。

そしてもう浜まで1キロを切るようなところまで戻ってきてしまい、水深も20mに満たなくなってきてしまいました。
これは本格的にボウズか?いや、昨夜頭は剃ってるからまあいいんだけどなんて自虐的になっていると、久々のアタリです!
えいと合わせてこの日初めてのヒット。
手応えは強くなく大物ではなさそうですがそれでも慎重に引き上げてみると、15cmほどのオオモンハタでした。

これはさすがにリリースしました。
この日は実はクリスマスイブ。いくらボウズでもこのサイズのハタ一匹持ち帰っても後味が悪いだけです。無駄な殺生はせぬ、その代わり君のお父さんかお母さんがどこにいるのか教えてね~なんて思いながら海に返してあげました。
これで今日の釣りもおしまいかなあ、まあ一回だけだけど釣り味も楽しめたし良しとするかと開き直りながらも諦め悪く糸を垂らしているとまたアタリが。

フィッシュオン!
今度はぐいぐい引きます。
丁寧にリールをあやつり引き込んでいくと、竿がグイーンとしなります。
そうしてなんとか上げてみるとまたオオモンハタです。今度は40cmほど(たぶん)のいいサイズ。
これはさっきのヤツが呼んできてくれたのかな、なんてよくわからないですがハタの恩返しと感謝。

さてこれにて終了といつも魚の処理をしている浜に上がると、それにつられるように中谷さんとサエミちゃんも来ました。
中谷さんはカサゴとハマチとホウボウ、サエミちゃんはエソに悩まされながらもいいサイズのハマチを釣り上げていました。

頭上にトンビとカラスが旋回する下、鱗取りとワタの処理をして、帰途につきました。

どうやら池田さんも森田さんも苦戦を強いられていたようです。
吉角さんはなんと真鯛を上げていました。


こうして竿を納めたのでした。
次回はいつになることやら。
待ち遠しいものです。

2014年12月11日木曜日

初冬、東奔西走

めまぐるしく過ぎ去った半月あまり。
ブログもホームページも更新をすっかりご無沙汰してしまい失礼しました。


11月下旬に行われた第12次瀬戸内カヤック横断隊
今年もスタートからゴールまで全行程に参加し、多くの学びを得ることができました。


祝島まであと25kmの最後のキャンプ地にて
牡蠣パイプでアートを創ったマイク(緑のジャケット)


7日間で瀬戸内の海を横断する瀬戸内カヤック横断隊も今回で12回目となり、天候に恵まれ、参加した隊士みんなの意志も固く、なんとか目標としていた祝島まで漕ぎきることができました。


初日、小豆島を出発し、夕方前には瀬戸大橋をくぐることができた


総漕行距離270km。
日の出前に離陸し、海上で朝日を眺め、夕闇迫る浜に着陸する日々でした。


日暮れが迫り、今日の野営地を目指して漕ぐ横断隊士たち


水も食料も7日間無補給。
「own risk(自己責任)」。
実践版シーカヤックアカデミーとして内田正洋氏が始めた瀬戸内カヤック横断隊は次世代へと受け継がれ、新たな10年へと漕ぎ出しました。

僕も横断隊から多くを学び、そして経験してきました。
横断隊に参加し続けてきたことは、今の仕事を選んだきっかけの一つでもあります。
そして瀬戸内というかけがえのない海を知ることもできました。

横断隊はこれからもずっと続いていくでしょう。
僕も関わり続けていきたいと思っていますが、僕自身が何かを始めなければならないという意識も芽生えてきました。


そして12月初旬。
三重県紀北町で開催されたJSCA(日本セーフティカヌーイング協会)の公認指導者検定会シーカヤック応用課程に受験しました。


JSCA公認指導者はインストラクター1(基礎)とインストラクター2(応用)、
そして今年度新設されたベーシックインストラクターがあります


検定会応用課程は講義と筆記試験、海上・陸上での実技試験が3日間に渡り実施されます。


各講義はIT(インストラクタートレーナー)によって行われます


応用課程ではシーカヤックインストラクターに求められる知識と技術と経験が問われます。
できて当たり前。知ってて当然。
ですがそのレベルの高さに自分の未熟さを思い知らされる毎日でした。


2日目の午前中。実技試験が終わった後のひととき


筆記試験も充分手強いですが、やはり山場は実技試験です。
紅葉の秋から一気に真冬のようになった伊勢二見の海で試験は実施されました。

テーマはラフウォーターでのテクニック。
小手先の技術や曲芸のような小技は検定官(IT:インストラクタートレーナー)にはすぐに見破られます。
僕も先月から時間を作って練習をしてきましたが、その甲斐あってか課題はなんとかクリアし、無事合格することができました。

しかしまったく余裕のない合格でした。
インストラクター1(基礎課程)に合格してから6年、目標としてきたインストラクター2検定でしたが、そこはゴールではなく新たな課題が山積する‘道半ば’でした。

JSCAにはさらに先を目指そうとさせる深くて高い目標がたくさんあります。
僕はシーカヤックインストラクターです。
まだまだ、これからも学び続け、研鑽、精進していきます。


そして冬。

おだやかな初冬の五ヶ所湾・五ヶ所川河口付近


五ヶ所湾のアオサ養殖の網は緑色にたわみ、空は青く高く、海はますます青さを深めてきました。
今年も残りわずか。
サニーコーストカヤックスも二回目の冬を迎えます。


2014年11月20日木曜日

いざ!瀬戸内カヤック横断隊へ

2014年晩秋。
第12次瀬戸内カヤック横断隊が11月22日(土)に小豆島を出発し、祝島を目指して漕ぎ出します。
期限は28日(金)まで。7日間の海旅です。



食料を買い込み、キャンプ道具やカヤック装備をまとめて車へ積み込む。
行きはどこかで車中泊し、21日のうちに小豆島へフェリーで渡ります。

相変わらずの大荷物。
それでも忘れ物がないかどうかいつも不安に感じます。




準備は荷物をまとめるだけではありません。
道具の整備も大事な準備です。
今回は水漏れが気になっていたカヤックのサードハッチを補修し、スケグの具合をチェックしました。

船乗りは自分の船は直せんといかん、とは知人のカヤックビルダーの言。
海旅には欠かせない知識と技術ですが、その前提として日ごろからのメンテナンスも大切でしょう。




そして積み込み完了。
もう冬の気配もする青空の下、オレンジ色のカヤックが映えます。南伊勢でもちらほらと紅葉が始まりました。
これから西へと走ります。

瀬戸内カヤック横断隊は遠征ではなく、勉強の場です。
初代隊長の内田氏は道場である、とも言っています。


今年はどんな海旅になることやら。
くわしくは追って報告していきます。

それでは行ってきます!


2014年11月11日火曜日

エビエビ!キャンプツアーで伊勢エビ三昧!!

先日のエビエビ!キャンプツアーの報告です。

伊勢エビの旨みたっぷりのトマトソース


お一人様、伊勢エビ1尾食べられるグルメ・シーカヤック・キャンプツアーとして長らくご愛顧いただいております「エビエビツアー」。
今年は諸般の事情によりサニーコーストカヤックスで開催させてもらいました。

雨降る中津浜近くの五ヶ所湾「おへその灯台」


初日からあいにくの雨模様でしたが、三浦半島のシーカヤック屋さんコアアウトフィッターズのお客さまとスタッフの平野さんがお越しになり、また、愛知蒲郡からはレインボーの中谷さんもお客さまをお連れして参加してくれました。
遠路はるばるいらっしゃったゲストの皆さまに伊勢志摩の海と味覚をたっぷり味わっていただこうと、僕もやる気十分です。

夜は浜でキャンプです。
頃合い良く雨もあがり、テントを張り、タープを広げて、焚火を熾せばもう僕らのプライベートビーチのような気分です。

そしてさっそく伊勢エビをご賞味いただきました。

伊勢エビは自分でさばくこともできます。熟練!?の講師が指導しますよ~


今回、伊勢エビは五ヶ所湾の田曽浦のお魚屋さん山庄水産さんにお願いしました。
新鮮な地物の伊勢エビを生きたまま発泡スチロールの箱に入れて持ってきてくれました。ありがとうございます!
その発泡の箱ごとカヤックのデッキに積み込み、キャンプ地まで漕いできました。

箱を開けると伊勢エビたちはギーギーと鳴き、活きの良さをアピールしてくれました。
さあ美味しく食べてあげるよ~とつぶやきつつ、さばいていきました。
かれこれ伊勢エビさばきも5年以上、手つきも慣れたもので、サクサクとさばいていきます。
漁師ガッパを着て発泡の箱をテーブルにして伊勢エビをさばく姿は、どう見てもシーカヤックガイドさんじゃないですね。笑

そんなこんなで伊勢エビのお造り、茹でたのなどを食べていただき、その殻を使って今度はトマトソースを作りました。
それをパスタと和えて伊勢エビパスタの完成!

コアアウトフィッターズ平野さん撮影の伊勢えびパスタ


この豪快さ。彩の良さ。そしてもちろん味も格別です。
やっぱり伊勢エビは出汁がいいですよねえ。

翌朝も伊勢エビのメニューは続きます。

ご飯を焚火で炊いて、そして昨夜のうちにとっておいた出汁を使ってお味噌汁を作りました。
もちろん赤だしです。

レインボー中谷さん撮影の伊勢エビの赤だしみそ汁


これも色鮮やかな出来栄えです。
お味のほうも濃厚で、朝から贅沢な一品でした。

ご飯のお供にはこんなものも用意しました。
伊勢海老ふりかけ。
 
二日目の朝ごはん。他に納豆も用意しました~


このふりかけは僕のバイト先からの提供品です。
いやあ、ホントに伊勢エビづくしですねえ。

お腹も膨れたところで海へお出掛けです。
出発前のブリーフィング。
ここでは正装?してちゃんとシーカヤックガイドらしく地図でコース説明をしました。

コース説明を真剣に聞く参加者の皆さん



そして離陸。
午前中は五ヶ所湾の湾口を横断して、ぐるーっと周って中津浜の裏側にある浜に着陸してお昼休憩にしました。

中津浜の裏側の自然海岸でお昼休憩


ここで緊急スタッフミーティングを開き、夜遅くから天候が相当悪化していくのを考慮してキャンプを諦めベースに戻る決断をしました。
残念ですが安全には代えられません。

参加者の皆さんも漕ぎ足りない気持ちもあったかと思いますが、そこはベテランばかりなので状況説明をきちんとすることでご納得いただけたのでした。

再び離陸して五ヶ所湾めぐりです。

伊勢現代美術館を海から臨む。翌日、陸路見学に行きました


岸沿いにゆっくりと漕ぎ進み、南伊勢の海をじっくり堪能してもらいました。

集合写真。いかだ組みも素早い参加者の皆さんでした


そうして五ヶ所川河口の浜に戻ってきました。
着陸前に集合写真をぱちり。
夕凪のようにおだやかな五ヶ所湾を背景に、参加者の皆さんも満足そうでした。


最終日は夕方まで五ヶ所湾観光を楽しんでいただき、解散。
二泊三日のエビエビ!キャンプツアーは無事に終了することができました。
参加いただいた皆さま、そして中谷さん、平野さん、ありがとうございました!


こんなグルメツアーは今後も継続していきます!
二泊三日だけではなく、一泊二日バージョンなどもして、いろんな方々のニーズに合わせて開催していきたいですね。



2014年10月30日木曜日

ウィルダネス・ファーストエイド講習会を終えて

ウィルダネス・ファーストエイド(野外救急救命法)講習会を受講してきました。
スリップストリームという会社が主催しているもので、今回は5日間50時間コースが神奈川県三浦半島にあるYMCAの施設で行われました。

屋外での講習風景

今回はJSCA日本セーフティカヌーイング協会の仲間が声を掛けてくださり、JSCAメンバーが十数人と、一般の方(水商売ではない方々)も含めて20人ほどが集まりました。

講師はユキエさん。
海外でのガイド活動のみならず、救急救命士の資格も有する実際に現場で動きまくっているプロ中のプロのお姉さんです。

パドルを添え木にして足を固定している

講義は室内と屋外と場所を選びません。
ホワイトボードを使って講義する場面もあれば、車座になって床で実演することもあり、また、YMCAの広い敷地を使って屋外で講習する場面もありました。

特に屋外での講習では「シナリオ・トレーニング」と呼ばれる実際の状況を想定したシミュレーション練習が多く取り入れられていました。
そのリアリティは想像以上で、練習と分かっていても焦ってしまい頭が真っ白になり、テンパることしばしばでした。

シナリオ・トレーニングのデモ

ウィルダネス・ファーストエイドで重要なことは、「すぐに救急車は来ないし、病院にも連れていけない」、「持っている装備だけで対処しなければならない」、「その場所はウィルダネス(野外)である」などです。
ここがいわゆる都市救命法との大きな違いで、AEDも当然期待できませんし、もしかすると携帯電話もつながらないかもしれません。
それだけではなく、救急車が来れる場所まで何時間も、何日も掛けて歩いたり漕いだりしなければならないかもしれません。

その場にある物を使って、自分の知識と経験をフル稼働させて、持てる技術をありったけつぎ込んで傷病者に向き合わなければならないのです。

バックパックと流木を利用した担架で傷病者を搬送する

僕たちはシーカヤック・インストラクターであり、ガイドです。僕たちは商売をしているのでプロフェッショナルです。
そのプロフェッショナルに求められるものは、けっして簡単なものではないでしょう。
僕たちにはお客さまの生命・身体に対して重い責任があります。
その責任を果たしてこそ、この仕事のやりがいがあります。

講義終了後、宿題と復習をする受講生たち

7:00朝食、7:30講義開始、12:00昼食、12:30講義開始、18:00講義終了。
その間5~10分の休憩が二回ほどあるだけでした。

宿題や復習に真面目に取り組んだのはいつ以来でしょうか?
全員が講義終了後に自習をしていました。
寝るのは毎晩24:00近かったです。
それでも時間が足らなく感じ、5日間は瞬く間に過ぎていきました。

復習は実技だけではなく、講義内容の振り返りも大事

最終日の朝一に筆記テストがあり、その後は夕方暗くなるまでシナリオ・トレーニングの時間となりました。

シナリオ・トレーニングは雨中実施されたこともあります。それが野外で起こりうるシチュエーションだからです。
そこでは救助する人だけではなく、救助される側である傷病者役の人にも学びと気付きがたくさんありました。
その学びと気付きが、次に自分が救助する側になった時に役立つのでした。

最終日の海岸でのシナリオ・トレーニング

最終日のシナリオ・トレーニングは装備も場所もまさに「現場」でした。
僕もライフジャケットを着、バックパックではなくIKEAバックにいつもツアーに持っていく道具を詰め込んで海岸を走り回りました。

僕は手が遅く、いつも実技では遅い方でした。
今回は講習ですが、それが現場となればその遅さが致命的になるかもしれません。大出血などは迅速な対処が大切になります。
逆に、遅くてもしっかりやるほうがいいこともあります。重度の低体温症の場合などがそうで、慌てるよりも万全の準備が重要になります。

シナリオ・トレーニングでは血のりなども使い、傷病者役は迫真の演技が求められる

こうして5日間の講習を終え、無事にテストにも合格することができました。
ですが全然終わった感じがしません。
これからだ、ここから勉強が始まるんだという気持ちです。


プロのインストラクターとして、ガイドとして、フィールドでの活動を続ける限り救命法と関わり続けなければいけません。
その責任と使命を胸に、カヤック技術の向上(と料理の腕前アップ)とともに精進していこうと強く思っています。


2014年10月18日土曜日

シーカヤック海旅塾・湯浅湾 再入塾!  ~後編~

翌朝。
雨は上がり青空が広がる気持ちのいい天気でした。
が、目の前の海は明らかにうねりが入り、白波が砕ける油断を許さないサーフゾーンになっていました。


朝ご飯は各自、のはずなのですが昨夜の残り物でみんな満腹してしまいました。

午前中の講義は「海からの視点」と「自由」についてです。
島国・日本に暮らす僕たちにとって、海からの視点の大切さとは。そしてそれを身に付けるためにはどうしたらいいのか。
自由とはなんなのか。
そうしたことを考えながらカヤックや太古から続く舟の文化伝統についても思索を深めていきます。

午後、お昼ご飯を食べてからみんなでどうするかを考えます。
すぐに出発するのか、どこへ行くのか。
天気、海況、そして上陸適地を考慮して総合的に判断しますが、そこにはどうしても勘のようなものも大きなウェイトを占めます。
それを「海気を読む」と表現するのが海旅塾塾生と瀬戸内カヤック横断隊隊士の間で最近流行っているのですが、この「海気」という言葉自体は辞書にも載っているので、本当はもっと普通に使っていたのかもしれません。

日本人はとてつもなく多くの事、大切な物を忘れてしまっているのかもしれません。


砕波帯(サーフゾーン)の離陸もまた、着陸するのと同じように危険があります。
波のタイミングを見計らって素早くカヤックに乗り込み、安全圏へとダッシュします。
海上へ出てしまうとゆるやかにうねりを感じる程度で危険はぐっと減ります。
そして着陸予定地を目指しました。
目指すは鷹島です。


鷹島は縄文土器も出土する古くから人々が暮らした島で、古代の瀬戸内、それだけではなく日本全国にまたがる海上交通の要衝だったと想像できる島です。
その鷹島にある浜はどんな時化でも安全に上陸できると言われ、僕たちもその浜に着陸しました。

ですが鷹島の浜は台風18号の影響で砂浜がほぼ消滅し、ほとんどゴロタ浜になっていました。
目の前の入り江にはたくさんの釣り筏が浮かび、日中は釣り客が絶えず、その送迎の船も出入りします。
なんとなく嫌だなあ、ということでこの浜を離れ、別の浜を目指しました。


今度の浜は前回僕も野営した浜です。
ところが浜に近付くとどうも様子が変わっています。
僕の目にはテントを張れるスペースもなさそうに見え、大きな波がどんどん入ってきていて明日の出発が危ぶまれるどころか今、着陸するのも危険なように感じました。

それでも慎重にみんなで着陸してみました。
大きな波には周期があり、そのタイミングさえ間違わなければ危険は少ないです。
やれやれ、と上陸してみたものの、浜を歩いてみてやはりここには野営できるだけのスペースはなく、満潮時には浜のほとんどが波に洗われてしまうことが分かりました。
仕方なく再び海へ。

すでに台風19号の影響が顕著に現れ、浜辺での野営は明日の出発にリスクを伴うと判断し、やむなく須原海岸のアイランドストリームのベースに戻ることにしました。
須原海岸に着陸したのは夕やみ迫る16時半でした。


ベースに戻ってきたからと言って海旅塾が終了したわけではありません。
ベースに戻るという判断もまた海旅塾で学ぶことであり、もちろん講義も続けられました。
海旅っぽさを継続するためにヘッドライト以外の電灯は使わないことにしました。シャワーも誰も浴びませんでした。
そうするだけで文明社会から離れて野営している気分になり、海旅が続いている実感がありました。
平田航師の豆乳鍋も格別で、ついつい食べ過ぎてしまいました。

この日の夜の講義は21時過ぎまで掛かり、その後も内田塾長の名調子は疲れも知らず夜は更けていくのでした。
この夜は各自テントで寝ました。


三日目の朝を迎えました。
道路の向こう、須原海岸に打ち寄せる波は確実に大きくなっていました。

午前中は講義。
海洋教育、そして環境教育は法律で促進することが定められています。
国の、国民の責務なのです。
そうした教育のツールとしてのシーカヤッキングのあり方。
シーカヤック屋さんを開業して二年目の僕には身の引き締まる思いがありました。


そして午後。
最後の講義は「振り返り」です。
三日間の総括として講義を振り返り、学んだことを確認します。

僕にとっては二回目となった海旅塾でしたが、同じ講義なはずなのに違うお話が多く、それなのに前回の理解をさらに深めることができ、いろんなことを確信する連続でした。

驚き、気づき、想い、学び、賜る。

海旅塾はシーカヤックの世界を海よりも深く、空よりも高くし、心も身体も解放するような気がします。
それは内田塾長と平田航師が海を旅して学んだこと、賜ったものを、海旅塾を通してより多くの人たちに知ってもらおうとする想いがあるからです。
賜ったものを次の世代に語り継ぐこと。この想いこそが海旅塾の魅力であり、これからの時代に生きる人たちに求められるのはないでしょうか。

今回も内田塾長、平田航師、ありがとうございました。
一緒に勉強したMちゃんも、ご飯の支度やコーヒーの準備など、細やかな配慮に感謝です。


そして。
次回のシーカヤック海旅塾は三重県南伊勢町で開講します。
場所は古和浦。
座佐の浜を初めとする国内屈指のシーカヤックの好フィールドで、塾長・内田正洋とサニーコーストカヤックス本橋が航師として講義します。
くわしくはホームページをご確認ください!




2014年10月15日水曜日

シーカヤック海旅塾・湯浅湾 再入塾! ~前編~

10月9日から開講されたシーカヤック海旅塾・湯浅湾に研修として参加させていただきました。

僕にとっては6月に引き続き二回目の海旅塾であり、また、来る11月には三重県南伊勢町のフィールドで海旅塾を開講することが決定したこともあり、事前研修でもあり、さらなる理解と確信を得るために紀伊半島の山越えをしてきたのでした。

折しも台風18号が本州太平洋岸をかすめ過ぎ去り、そして本年最強と謳われた台風19号が接近する狭間の期間でした。

国道166号線を一路西へ。和歌山市内だけ高速使ってスルー。伊勢を出てちょうど4時間の道のりは紀伊半島の大きさを実感する時間ですが、意外と近いのかなあとも思える時間でもあります。

今回の受講生は一名。今年の春シーカヤックを知りすっかりのめり込んでしまい、アイランドストリーム平田さんのところに通い詰めているMちゃん。
航師(講師)は内田正洋海旅塾塾長と平田航師のお二人。
そして私本橋の四人で今回の海旅塾は始まりました。


初日の午前中は三日間におよぶ海旅塾のだいたいのスケジュールの説明と、これから海旅(シーカヤックキャンプツーリング)をするフィールドである瀬戸内の海について、そしてシーカヤッキングについての講義。
いきなり濃い内容で、前回聞いたお話しだけではなく別のお話も多く、ぐいぐいと講義に引き込まれていきました。

続いて旅の準備、シーカヤックのパッキングについてです。
毎年海外への海旅を続けるライフスタイルを楽しんでいる平田航師ならではのパッキング術は、プロガイドとしても勉強になります。


そうして自分のカヤックに荷物を積載して、各自お昼ご飯を済ませ、いよいよ海へと移動します。

須原海岸は穏やかでした。
午前中よりもにわかに雲が多くなってきていましたが、強い風も吹いていません。
ですが大型の台風が接近してきているという不穏な気配は濃厚に漂い、うねりも少しありました。

浜辺ではナビゲーションについての講義があります。
離陸(出艇のことですが、陸を離れて海へ漕ぎ出すので離陸と表現します)する前に自分のいる位置、そしてこれから行こうとしている場所、そこへ至るための方法、視点について語られます。


そして離陸。
と、雨が降ってきました。


雨はすぐ止むかと思いましたがなかなか止まず、けっきょく海上ではずっと降られてしまいました。
ですが雨の海の美しさは例えようもなく、不穏な空気を漂わせながらもそこに内包された優しさも感じられたのでした。

湯浅湾の景観も素晴らしいです。


こんな洞窟があったり、アーチがあったりします。
太平洋と瀬戸内の海が出会う場所。
その厳しさと複雑さが湯浅の海の多様性を創り上げているように感じます。

予定を変更してとある浜に着陸。
多少うねりがあり波が立っていたので慎重に上陸します。
重積載したカヤックで着陸に失敗するとカヤックを壊す可能性もあり、また、怪我をしてしまうこともあります。

浜に上がっても雨は降ったり止んだり。
というわけでタープを張ります。
そこにみんなで車座になって座りレジュメを広げればタープの下が教室に早変わりします。
潮騒と海風を感じ、木々のざわめきと雨音と、、、。
この学ぶ環境こそが海旅塾の醍醐味のひとつでもあります。


初日の講義終了後、みんなで流木を集め焚火を熾しました。
雨で湿気た流木でいかに火を熾すか。これも海旅塾で学ぶことです。

晩ご飯は平田航師のお手製ご飯。
一品料理どころかしっかりとお腹も膨れるボリュームのある晩ご飯と、やっと降りやんだ雨、焚火の揺らめく炎、少しずつ大きくなる波の崩れる音を肴に、海旅談義は続くのでした。


後編に続く。

2014年10月1日水曜日

メンテナンス・デイ 2

すっかり秋めいてきた今日この頃。
シーカヤック屋さんは海に出ない日もお仕事が山積しています。
(いよいよ冬を迎えるとそれこそすることすらなくなり、途方に暮れることもありますが・・・)

そんなワケで今日もカヤックのお手入れです。


先日はずしたフットブレイスを別のカヤックに取り付けます。
取り付けるのは初心者スクールや初級ツアーで使用しているポリエチレン製カヤックです。


まずは位置取り。
以前、付いていたフットブレイスとはネジの位置が違うので、あらためて穴を開けなければいけません。
いくつも穴を増やすのもどうかと思い、一つは前の穴をそのまま使うことにしてもう一つだけ開けることにしました。

こうして外側で位置取りをしておきます。


そして穴あけ。
穴あけ作業に使ったのは手でやる穴あけドリルです。
ポリエチレンなら簡単に穴を開けることができます。


穴が開けられたら、今度は使わなくなる穴を塞いでおかないといけません。
そこでシリコン樹脂の登場です。
ほぼ一年ぶりに使おうとしたら案の定、中身が全部固まっていたのでホームセンターで買ってきました。
おそらく今回のシリコンも、全部使い切る前に固まってしまうのかなあ。やれやれ。

シリコン樹脂を充填するときはカヤックの内側にマスキングテープを張っておき、そして外から充填します。
そして仕上げに外側をちょっとだけ盛り付けてあげれば、まあしばらくは十分に防水性を保ってくれます。

穴の充填が終わったらいよいよフットブレイスの取り付けです。


このネジが無くて前回は作業ができませんでした。
ただ後日、人に聞いてみるとどうやらもう一つ径の太いネジをねじ込むようにすると判明。
こんな小さな失敗もいい経験ですね、ということにしておきます。

取り付け自体はすぐにできました。
内側は六角ナットで締めています。
こういう作業は、本当は2人でやったほうが楽なのですが、1人でもできないことはないです。

仕上げに今回取り付けたネジのところにもシリコン樹脂を塗っておきます。
これで少しは防水性が保たれるでしょう。


中はこんな感じです。

ちょっとナットが飛び出していて気になりますが、そもそも膝も届かない足元なので、けっこう気にならないようでした。
もし引っ掛かるようであればナットにカバーなどを被せる必要があるかもしれませんが、しばらくは様子を見てみることにします。


フットブレイスは身体を大きく使って漕ぐためにも、大事なパーツです。
また、カヤックのシートに座って背筋をピンと伸ばしておくのにも、足の踏ん張りがきちんとできるかどうかは重要なポイントとなります。
そのためにはフットブレイスの踏ん張りが効くことはもちろん、位置の調整がしやすいことも重要です。

だからこそレンタルカヤックのフットブレイスは大切だと考えています。
限られた予算の中でできるだけのことはしておきたい、そんな思いをもってメンテナンスをしてるんですよ~。