知っているようで知らなかったこと、ぜんぜん思っていたのとは違っていたことなど、ガイドが普段活動しているフィールドでお仕事をしていらっしゃる一次産業の皆さんのことをより深く勉強させていただきました~。
初日の早朝、鳥羽に集合して貸切バスで志摩市・和具漁港へ向います。
和具漁港の市場に到着。
講習会の参加者は全部で30人ほどです。
市場へ足を踏み入れる前から活気のある声が響き渡っていました。
朝の「競り」です。
この時はキハダマグロが取引されていました。
こちらは市場内の生け簀。
今年は暖冬、そして黒潮の蛇行などの影響で海水温が下がらず漁獲量は少なめだとか。
続いて伊勢エビが入荷してきました。
伊勢エビを目利きして選り分けていきます。
高級食材もこんなにいっぱいいるとありがたみが薄れますね。笑
動画もどうぞ。
サイズはもちろん、ヒゲの状態や足が取れていないかなどしっかりチェックしています。
市場を後にして和具港に隣接する漁協さんの事務所へ移動しました。
途中、こんな建物が。
これは倉庫ではなく海女さんたちが休憩をする海女小屋なのです。イメージにある海女小屋とかけ離れてすごい立派です!
間違いなく世界一、最新鋭の海女小屋と言えるでしょうね。笑
さらに歩いて行くと伊勢エビ漁の網さばき(漁で使った網を整えている)をしているおばちゃんたちがいました。
漁協の方が話しかけるとボケとツッコミが行き交う元気なやりとりが始まり、みんなを笑わせてくれました。
事務所の会議室をお借りして「三重外湾漁業協同組合」の方々からここ和具地区で行われている伊勢エビ漁の資源保護活動「プール制」について説明していただきました。
大雑把に言うと「みんなで獲って、みんなで分ける」んですが、その制度を作り上げる過程があればこその成功事例だと思いました。
エビ網を太い糸にし網の間隔も広くして小さい伊勢エビが掛かりにくいようにしたり、禁漁区の他に保護区を設けて漁を制限したり、仕掛ける網の数を減らしたおかげで労力が減って無駄がなくなり、それにも関わらずなんと漁獲高まで増えてしまったんだそうです。
なんだかデメリットが一切ないのにどうして他の地区でも取り入れないんだろうと素人考えしてしまいますが、和具地区だからこそできたという部分もあるようでした。
続いて向かったのは鳥羽市・答志島です。
鳥羽にとんぼ返りしてチャーター船に乗り込みます。
答志島の答志港。
午後の競りに間に合いました。
答志港の市場はルールを守れば誰もが見学することができます。
市場に入る前には靴を消毒し、帽子を被ります。
咥えタバコの屈強な漁師たちが闊歩する昔ながらの魚市場のイメージはどこにもなく、衛生管理もしっかりしていました。
答志島といえばこちら「答志島トロさわら」です!
シーズン終わりなのでそれほど多くは水揚げされていないとのことでしたが、ヨダレと釣り欲を刺激するには十分なサワラたちがたくさんいました。笑
ブランド「答志島トロさわら」はこのあたりで水揚げされるサワラすべてが認定されるのではなく、一定のサイズで(小さすぎても大きすぎてもダメ)脂肪含量が豊富なサワラにのみ与えられる称号で、上の写真では同サイズながら脂肪量が違うため、右のサワラは認定され(尾びれにタグを付けます)、左のサワラは認定されていません。
その脂肪量を測るのは「フィッシュアナライザ」という機械。仕掛けは体重計で体脂肪率を測るのと似たようなものなのでしょうか。
先年までは抜き取り検査をしていたのですが今シーズンからは全量検査しているのでブランド認定されたサワラはすべてトロっトロの脂ののったサワラというお墨付き!
ハイシーズンには日に2,000尾とか水揚げされるにもかかわらず労力を厭わず品質管理を徹底しているのです。
そしてランチ♪
もちろんサワラのお造りも並んでいました~。
食後はお勉強です。
「鳥羽磯部漁業協同組合」の組合長にもご出席いただき、「答志島トロさわら」について詳しくお話を伺いました。
苦労もたくさんあったようですが、一つの目標だった「漁師さんの所得を増やす」は達成され、今後の展開も楽しみですね。
講習を終え、徒歩で答志港から和具港(答志島のです)を目指しました。
先導していた「海島遊民くらぶ」の江崎さんの気まぐれで狭い路地へ。笑
家々の玄関先にはこの文字が墨書きされています。
これは島の祭りの風習で、八幡さまの八の字を書くそうです。
和具港に着くとサワラ漁で使う船がずらりと並んでいました。
サワラ漁は曳釣りで、左右2本ずつと真後ろに1本の竿を出してトローリングをするのです。
ブランド「答志島トロさわら」で漁村に活気が出て、そのサワラが観光地で食され、買われて賑わい、そうして地元のみんなが儲かる仕組みを生み出した鳥羽の取り組みでした。
2日目の朝。
この冬一番の冷え込みでしたでしょうか。
珍しく五ヶ所湾のほとりでも車のフロントガラスに霜が降りました。
2日目の午前中は伊勢市明野にある「伊勢農業協同組合」さんが運営している「あぐりん伊勢」にお邪魔させていただきました。
事務所でお話を伺います。
「あぐりん伊勢」では農業を始めたいという人を対象にした人材育成事業に取り組んでいます。
主な産品は「伊勢青ネギ」です。
畑に連れて行っていただき収穫作業風景も見させてもらいました。
こちらは収穫したネギを洗浄する機械です。
ただ洗っているのではなくて、設定で細かく調整して根こそぎきれいにしているのです。
(※ちなみに根っこがついているネギのほうが買った後も日持ちするそうです)
次に訪ねたのはイチゴ農園。
もちろん試食させていただきました♪
いちご農園では受粉はミツバチのお仕事なのでこんな巣箱を使っているそうです。
(※注:この巣箱にはミツバチはもういませんでした)
続いてバラ園へ。
こちらではいきなりバラの花束をいただきました~♪
それを受け取りご満悦の江崎会長。笑
(※後でみんなで山分けしました)
伊勢のバラが関西で高値で取引されている、なんて知っていましたか?
なんでも品質が良く、評判がいいとか。
その品質を保つため、農家さんは365日頑張っていらっしゃるそうです。
午前中最後はネギのパッケージセンター。
ここではネギの洗浄と仕分け、箱詰め作業などが行われています。
こちらでももちろん衛生管理はちゃんとされています。
みんな帽子を被って見学。
ネギもこんなに集まると玉ねぎ同様に涙が出ることを初めて知り、それも慣れれば大丈夫ということも学びました。笑
お昼には「伊勢農業協同組合」本店さんの会議室へ。
三重県産の食材がふんだんに使われたお弁当♪
ボリューム満点でした~。
食後には名産「伊勢茶」の試飲も。
お茶担当の方自らが煎茶を点ててくださいました。
ちゃんと淹れるとやっぱり美味しいですね。
午後は「いせしま森林組合」さんにご案内していただき、度会町の山へ。
森林組合で管理している山を見ながらお仕事について伺いました。
漁師さんは獲った魚を売るために漁協が運営している市場へ持ち込み、仲買さんに買ってもらいます。
農家さんは作った作物を農協へ預け、農協は市場(民間と行政が共同で運営)に持ち込み問屋さんに売ります。
山主さんはというと、管理も売買も基本的には自分が組する森林組合にお願いしているそうです。
同じ「組合」といっても役割も仕事もぜんぜん違うのですね。
そして2日間のプログラムすべてが終了しました~。
ご協力いただきました三重外湾漁業協同組合さま、鳥羽磯部漁業協同組合さま、伊勢農業協同組合さま、いせしま森林組合さま、あらためましてありがとうございました!
度会町の山中で集合写真を♪
皆さん、本当にお疲れ様でした!
そして、準備からアテンドまでしていただいた事務局の伊勢志摩観光コンベンション機構さん、お世話になりました~。
一次産品についてはそれなりに知っていることもあったり、調べればネットでも書物でも自分一人で勉強することができますが、一次産業のお仕事についてや組合さんの役割についてまではなかなか調べきれないのではないでしょうか?
こうして漁協さん、農協さん、森林組合さんから直接お話を伺うことができ、天然資源や作物が一次産品になるまでの過程がよく分かりました。
今回勉強させていただいたことをこれからのガイドトークに織り交ぜ、伊勢志摩の魅力たっぷり垂涎の一次産品をもっともっとアピールしていきたいと思います!
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