昼から家内が出掛けてしまったので、むずかる息子の気晴らしにと焚き火道具とコーヒーセットをIKEAバッグに放り込み、手をつないで歩いて行く。
浜に出ると北側の堤防のおかげで風も遮られ、季節感が狂ってしまうようだった。
ジャケットはすでに脱ぎ、フリースのジッパーも半分以上開放する。
久しぶりに引っ張り出してきたソロ用テーブルを広げ、アフタヌーンティーならぬコーヒーブレイクの仕度をする。
こちらも十数年振りに掘り出してきた焚き火台に手頃な流木をくべて湯を沸かす。
20cm四方くらいのコンパクトな焚き火台だが、それにちょうどいい具合の流木がいくらでもあって燃料には困らない。
ほどなく炎が上がり、MSRのケトルがかんかんと唸り始めた。
湧いたお湯で丁寧にドリップ。
焚き火で沸かしたお湯で淹れるコーヒーが美味いのはどうしてなのだろうか。
香りも味も、ガスレンジやバーナーで沸かしたお湯とは違う味わいがあるように感じる。
2歳の息子にコーヒーはまだ早いので白湯とおにぎり煎餅をあげる。
すっかり機嫌も良くなり、焚き火よりも浜辺をウロウロして石や貝殻に興味津々だった。
みかんも一個ずつ食べ終えた頃には少し肌寒くなってきた。
火遊びをさせたいな。
そんな思い付きからふらりと浜辺まで来たのだが、当の息子はそれよりも浜自体が面白くて仕方がなく、結局ほとんど焚き火には近付かなかった。
焚き火を楽しんだのもしたかったのも実は自分自身なのである。
まあそんなものかなと納得し、無心に白湯の入ったコップに砂利を入れていく息子のはみ出た背中を見つめた。
こんな遊びをこれからこの子とどれだけするのだろうか。
10年後、20年後、この子と今日という日を思い返す日、この浜は、この海はどうなっているのだろうか。
2時間ほど浜にいるうちにすっかり傾いた陽光が青さのりの緑の絨毯をきらきらと輝かせる。
ひたひたと潮が満ち、冬至を過ぎてそれなりに日が伸びた実感も得て、息子の手を取り家路についた。
息子の手はすっかり冷たくなっていたが、大きくなったものだとあらためて握り返した。
<了>
【僕のお気に入りアイテム紹介】
このシリコン製のコーヒードリッパーは伊勢のホームセンターで購入しました。
申し訳ないけれどメーカーを気にせず買ったので覚えていません。
こんなふうに畳めるので携帯に便利、というよりも、いつも持ち歩いているコーヒーセットの防水バッグの中に忍ばせておけるので、年に数回やらかしてしまう「ツアーに大型ドリッパーを忘れてしまう」対策なのです。笑
「プラティパス・デュオロックソフトボトル2.0L」は昨秋導入したウォーターボトル。
10年以上前にもプラティパスは使っていました。
耐久性、味移りの無いところはよかったのですが口が小さくて水が注ぎにくく、使ったが最後、絶対に二度と乾かせないという不衛生さが気になり使わなくなってしまったのですが、このモデルはなかなか良さそうです。
キャップ構造が改良されて大きくなり、注ぎやすいし洗ってちゃんと乾燥させることもできるようになりました。
持ち手のカラビナは余計ですが(笑)、しばらくツアーでも使ってみようと思っています。
・・・使用済み2Lペットボトルばかりじゃ恰好つかないですからね。
「MSRアルパイン1Lティーポット」は他のクッカーにスタッキングしやすいので公私ともに活躍し続けているアイテムです。
ジェットボイルが国内流通し始めてすぐに買う前からですので15年くらいは使っていることになるでしょうか。
このケトルの最大の特徴は注ぎ口がシンプルなこと。
この注ぎ口に慣れてしまうと、世のやかんがどうしてこの注ぎ口じゃないんだろうと不思議に思うくらい便利に感じます。
全体の構造的にも頑丈なので、まだまだ長い付き合いになりそうです。
そしてこちらは「ホリデーロード」製の焚き火台。
このブログを書くにあたりネットで検索してみたら「コンパクトストーブVHS」という名称だったことがわかりました。(ただし現行品はMk-IIのようで仕様変更していますね)
コンパクトさもさることながら、東京下町の町工場で手作りされているこだわりの逸品、この完全燃焼ぶりはさすがの一言です!
パーツはこれらを工具なしで組み立てるだけ。
十数年ぶりでしたし熱で多少フレームが歪んでいましたが、ちゃんと組み立てることができました。
それらをまとめるとこんな感じで、
そして!
「コンパクトストーブVHS」の名の通り、ビデオテープのケースに収まってしまうのです!!
もはやVHSが死語、実用品ではなくなってしまいケースもむしろ割高なんじゃないかと勘繰ってしまうくらいですが(笑)、往時はこのサイズにスタッキングできるんだという驚きで衝動買いした記憶が蘇ってきます。
さらに!(笑)
こちらは「ツーリングテーブルVHS」。
これも十数年ぶりでしたが簡単に組み立てることができました。
脚部にあしらわれた「ホリデーロード」のロゴも美しいままです。
・・・あんまり使ってなかったんですね。たぶん。笑
こちらももちろんビデオテープケースに2セット、スタッキングできてしまいます。
これなら奥さんに内緒で購入しても、ジブリのビデオテープの横に並べておけばバレませんから!・・・なんて言う「ホリデーロード」佐野社長の営業トークが聞こえてくるようです。
本当に久しぶりに持ち出してきたキャンプ道具でしたがまだまだ現役で使えそうなのでまた活躍してもらう機会も増えてきそうです。
そして、「ホリデーロード」さんも元気に商売を続けていらっしゃることもネットを見て分かったのもうれしく思いました。
家から徒歩1分の浜辺でこうして息子とのんびり遊ぶことができる幸せ。
海なし県で生まれ育った僕だからこそ、子供には海辺で生きるということを目いっぱい楽しんで欲しいものです。
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