その距離およそ40km(弱)。
平均時速5kmとしても8時間は掛かります。
メンバーは昨日の夜に合流した【サンデープラニング】のスタッフ・ジュンコさんも加わって総勢7名。
出艇は山の端からやっと太陽が顔をのぞかせた朝8時前。
早朝のりんとした空気が和らぎ、日の光が空と海を彩っていく中を漕ぎ出しました。
湾口にある【がまの口】の洞窟。
漕ぎはじめて30分足らず、まだまだ遊覧気分です。
それでも、ここまで各自自由に漕いできたのですがそのルート取りをした意味を考えようと、森田さんがみんなそれぞれに意見を聞いてくれました。
風と波を考えていたり、太陽の逆光を嫌ったり、船の交通を考慮したり。
それぞれがいろんなことを考えてコース取りをしているのが分かりました。
そんなワークショップを要所要所で区切って休止しては繰り返し、漕ぎ進んでいきます。
ここ、熊野から尾鷲に掛けては、柱状節理の岸壁が続く壮大な景観のエリアですが、その代わり上陸場所が極端に限られるシーカヤックツーリングをするにはリスクがとても高いエリアでもあります。
休憩もほとんどが海上での休止になりました。
やっと上陸して休憩ができたのは11時半を回ったころでした。
座りっぱなしの姿勢から立ち上がり腰を伸ばすのは、なんともいえない開放感があります。
そして栄養補給もしっかりとします。
上野さんと森田さんがたくさん食べまくっていたのが印象的でした。
数々のエクスペディションを乗り越えてきたお2人の経験がそうさせているのでしょうか。
ここは尾鷲への入り口、九木崎。
ちょっと向かい風が吹き始め、メンバーのペースが落ち始めました。
そんな中、僕は森田さんから波立つコンディションでのパドリングのアドバイスをいただき、逆にペースが上がってきました。
なんとなく漕ぐのではなく、様々なことをきちんと意識して漕ぐとこんなにもシーカヤックの世界は広く深くなるものなのだなあと改めて感じ入ったのでした。
さらに漕ぎ進みます。
4時を回ると、日はつるべ落としで夜へと向かっていきました。
紀伊長島の湾に入ると日は落ち、みるみる暗くなっていきます。
5時。
もう空は群青に染まり、闇が増し、町と灯台の灯りが際立ち始めました。
全員がヘッドライトを装着していつでも点灯できるようにしておき、上野さんと森田さんからケミカルライトが渡されました。
ここから先はナイトパドリングになりました。
ここまでの自由行動ではなく船団を組んで漕いでいきます。
先頭は森田さん。ここの海も熟知しています。(たぶん海底の地形も、魚の分布も・・・)
頭に着けたヘッドライトは点灯しませんでした。
点けてしまうとその明かりが照らしているところ以外が見えなくなってしまうのと、漁船などがこちらのライトを発見した場合に、なんだろうと確認をしに急接近してくる可能性があるからです。
夜目が頼りです。
ただ、本当に真っ暗になると灯台や浮標などのライトは判別しやすく、また、町の明かりもはっきりしているので地図さえ頭の中に入っていれば思っていた以上に方向感覚、位置感覚は正確に把握することができました。
そして星たちもその道しるべとなり得ます。
たまたま上陸予定地の真上に北極星があり、カシオペア座があれだから北極星はあれか、とみんなで確認し合い、船団が広がらないように注意しながら漕いでいきました。
(スミマセン、暗すぎて写真がございません~)
7時、豊浦に上陸。
ペースとしてはかなりゆっくりとなりましたが、11時間ものパドリングはさすがに堪えました~。
終了後、古里温泉で冷えて疲れた身体を癒し、小山ハウスに戻ったのでした。
僕はここで参加終了。
本当は全研修に参加したかったですが、諸事情により果たせませんでした。
その後、研修はロックガーデン中級編、サーフ講習、最終日は北山川でのホワイトウォーターツーリングだったとのことです。いいなあ。
今回、僕の研修参加の目的は、「思い込みを知る、実感する」でした。
地図読み、ナビゲーションでもそうでしたし、外洋パドリングも長距離ツーリングも、ナイトパドリングも、自分一人でこうだろう、そうに決まっていると思い込んでいることがあるんじゃないかと疑いを持ち、それを一つでも実感できればと考えていたのですが、想像以上に思い込みと勘違いに気付かされ(笑)、本当に勉強になりました。
研修の機会を作ってくださった熊野ガイド協会の上野さん、森田さん、そして参加された皆さん、ありがとうございました!
シーカヤック道(海旅道)はまだまだ先が長そうです!
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