五ヶ所浦の町並みから五ヶ所川に沿って山のほうへとさかのぼり、切原の集落を抜けさらに山へと進んでゆく道、それが剣峠です。
剣峠は五ヶ所湾と伊勢神宮内宮とを結ぶ峠道です。
一応、全線舗装されていますが、落石や倒木が路上に散在していることもあり、車での通行には十分な注意が必要です。
伊勢志摩に暮らし始めて7年目。いまだ通ったことのなかったこの峠道を、桜の開花目前の三月中旬に行ってきました。
国道260号線からサニーコーストカヤックスへ行く信号を海側ではなく山側へ曲がり、五ヶ所川をさかのぼり始めます。
すぐに五ヶ所神社があり、愛洲の里も過ぎるといよいよ山道です。
しばらく進むと切原の集落に出ます。
山間の盆地のようなところに切り開かれた切原の家並みですが、この日は晴れていたこともありとても開放的で明るい印象を受けました。
さらに進みます。
このあたりまでは比較的道幅もあり、通行に不安を感じるような道ではありません。
道の脇には畑も多く、人が頻繁に行き来しているだろう雰囲気がありました。
そうして峠のてっぺんに到着。
峠のてっぺんには石碑も立っています。
その横には歌碑のようなものもありました。
見晴らしがきくわけでもありませんが、ここだけ少し開けていて車を停めておくことできます。
この峠までは南伊勢に暮らす人たちの生活圏内なのでしょう、気安く来れる道でした。
そして、峠を越えて下り道へと進んでいきました。
と、いきなりこの看板。
そう、ここから先は伊勢神宮の領内、宮城林でした。
そして道の様相も一変します。
道幅も車一台がやっと通れるくらいしかなく、路上の落石、倒木が増え、落ち葉も降り積もり、傾斜もきつくなっています。
なるほど、これは危ない道です。
伊勢に住む知人友人たちが口を揃えて危ない、怖かった、もう行きたくないと言うのがやっと分かりました。
峠道というより林道です。
対向車が来たらどうするんだろうとやきもきしながら慎重に下っていくとエンジン音が!
幸いバイクだったのですれ違いには問題なかったのですが、相手がオフロードバイクだったので一抹の不安も。
この先、大丈夫だろうか、、、。
つづら折れになっているところやカーブの内側の舗装が崩れているところ、山側から水が流れて土砂が散乱しているところなど、まさに油断のならない道でした。
そうしてやっと開けたところに出ました。
伊勢市高麗広の集落に出、さらに進むと川が見えてきました。
しかも人影もちらほらと。
そこは伊勢神宮内宮のほとりを流れる五十鈴川でした。
人影は参拝客で、川原で手を洗っているのが見えました。
内宮へ参拝する時は僕も対岸で手を洗っていますが、こちら側に道路が通っていることにも気付いていませんでした。
と、いきなり眼前に信号機が。
内宮の駐車場の奥にある交差点に出て来たのでした。
この交差点も今までは丁字路だと思っていました。
唐突に街中に出てきて、なんだかワープしてきたような感覚でした。
ただしたっぷり40分以上掛かるワープでしたがね。
こうして初めての剣峠越えを無事に終えたのでした。
かつてこの道は真珠王・御木本幸吉が行商のため通ったといわれています。
沿道には幸吉翁が植えたとされる桜並木があり、それは今でも数株残っているそうです。
なかなかの風流人だったといわれる幸吉翁の、それは後世に伝わる名残りでしょう。
なだらかな峠道から林道のような険しい道になり、最後は劇的に伊勢神宮内宮の横に出てくる剣峠。
それなりの覚悟と慎重な運転を心掛けて、皆さんも一度訪れてみてはいかがでしょうか。
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