3月11日、夕方。
小泉自然楽校へ向かいます。
駐車場に車を止めて奥の大型テントのほうを見ると、煙が上がっていました。
海さんのピザ釜です。
近付くと香ばしい生地の匂いと、具材の焼けた匂いとが食欲を刺激してきました。
ピザ釜は昨日の夕方に僕もお手伝いして設置しました。耐熱レンガを組んで作ります。
構造そのものはシンプルなので、人手さえあれば1時間ほどで出来上がります。
次々に焼き上げられていくピザはロールケーキ型の白い大型テントの中へ運ばれていきます。中を覗くと地元の人たちが歓談していました。
小泉自然楽校の生徒さんたちもパスタを作ったり、おが自然学校のヨシエさんのお手伝いをして秋田名物きりたんぽを作ったりしてくれていました。
堪え切れずにピザやきりたんぽをつまみ食いさせていただき、缶ビールをプシュリ!
さあ、サニーコーストカヤックスも出動です。
持ってきたコンロを出し、買い出ししてきた食材を並べ、下ごしらえを始めました。
鋳物のタコ焼き鉄板を取り出すと子供たちが集まってきました。
わーいッ!タコ焼きだ~!!
四人の女の子に囲まれ、私がやる私もやると言ってピックを離しません。
仕方がないので火傷に気を付けてねと言って焼いてもらいました。
初めての子もいましたが、お家でやったことあるという子をお手本にしてけっこう上手にクルリとしてくれます。
そうして出来上がったのをハフハフしながら食べて大満足。
全部食べちゃダメだぞ、みんなに配ってきてねと言うと小走りにお皿を持ってテントの中へ行きました。
そんな感じで数回焼き、きりたんぽも頬張り、子供たちと地元のおばちゃんたちは暗くなる前に帰っていきました。タコ焼き焼いてくれてありがとね~。
暗くなってからは大人の部(?)開始です。
地元の議員さんも同席され、缶ビールが配られます。
小泉自然楽校代表の阿部さんからご挨拶があり、小泉ありがとう交流会二次会の始まりです。
美味しい食べ物と楽しいおしゃべり。
小泉ありがとう交流会は
「 小泉の人
小泉中体育館避難所で暮らした人
支えた人
全国から集まったボランティアの皆さん
当時を思い出しながら語り合いましょう
生きていることに感謝して
心おだやかに過ごしたいと思います
よろしくおねがいいたします
ありがとう 」
という趣旨で集まりました(ヨシエさんの原文まま)。これは昨年、同じ日、同じ場所で約束したことでした。
その約束を果たすために、なんて堅苦しい思いは僕にはありません。それは僕の奥さんも同じです。
また来たいね、行きたいなあ、行こうよ、いつから行く?みたいに自然に行こうと決めました。
夜9時過ぎ、僕らは明日の予定があるため途中退席させてもらいました。
何人もの人たちにギュッと固く握手され、また来てねと声を掛けていただきました。
そしてテントの外に出てみると、ひまわりおじさんが待ち構えていてハグをしてくれました。
小柄なのに力強く温かいハグでした。
ひまわりおじさんは自然楽校の林にこだまするような大きな声で最後まで見送ってくれました。
さらに車に戻るとヨシエさんがいて、コレ持って帰ってネとたくさんお土産をくれました。
中でもうれしかったのはヨシエさんお手製の貝殻の根付け(キーホルダー)。いっぱいあるからと3つずつもらいました。
昨年も素敵な陶器のワイングラスをいただいたのですが、この根付けも大事に毎日使っています。
別れを惜しみつつ奥さんの運転で小泉を離れました(奥さんはお酒NGなので飲んでいません)。
そして翌日。
仙台港発名古屋行のフェリーに乗りこみました。
特別割引プランがあり、高速道路を走るよりも安上がりなのです。
船室に荷物を置き、小雨交じりの冷たい風が吹くデッキに上がりました。
津波に襲われたはずの仙台港は、一見すると元の姿に戻って活気に溢れているようでした。
汽笛が鳴り響き、出航。
少しバタバタとした旅でしたが、旅のフィナーレが船というのはなんとも贅沢な気分です。
色々と旅の思い出を二人で話しました。
来年もまた、小泉へ行きます。
でも今度はカヤックを海に浮かべて子供たちと遊びたいと思っているので、暖かい時期にしようかなあとも考えています。
その時にはまた、小泉の皆さんにお会いできるでしょうか。
ゆっくりと流れていく港内の景色を眺めながら、またねと心の中でつぶやくのでした。
東北ボランティア・センチメンタル・ジャーニー 完
0 件のコメント:
コメントを投稿