2013年12月19日木曜日

~一枚の写真から綴る~ 第11次瀬戸内カヤック横断隊 参加報告5

11月18日月曜日。
三日目にして初めて日の出後の出発。
天気予報は下り坂。
午前中の早い時間に下蒲刈島へ渡らないと、身動きが取れなくなる可能性もあった。


当初、安全策として倉橋島の東岸沿いに北へ漕ぎ上がり、情島へ渡ってから様子を見て海峡横断をする作戦だった。
が、海況は思った以上に良く、目指す下蒲刈島もその先の上蒲刈島もすぐ近くのように見えていた。
その日のリーダーはその誘惑に魅かれ、補佐をしていた僕はそれでも頑なに最短距離での海峡横断をすべきだと考えていたその時、後列から村上隊長が、
「今のうちに渡っちゃおうよ」
と声が掛かった。

リーダーの決断は速く、そしてまた僕の心変わりも素早かった。
隊は一気に海峡横断を開始した。
この判断が功を奏した。

途中から追い風追い潮となりうねりはどんどん大きくなるにしたがい操船に苦心するメンバーもいたが、隊のペースは非常に速く、本格的に風が強くなる前に下蒲刈島南岸の梶ヶ浜に辿りつくことができた。
ここは堤防で囲まれ上陸もしやすく、トイレも水場もあり、この後のルート取りを話し合う十分な余裕もできた。

もし安全策だと思い込んでいた作戦通りに進んでいたら、海峡横断の途中で強風に晒され隊はバラバラにされていたかもしれない。
ふと、来し方を振り返りぞっとする。
今や海峡は白波が立ち、時折強烈なブローが海面を削るように吹き荒んでゆくのが見えた。

海旅では一瞬の判断がその後の航程の明暗を分けることがある。
海峡横断はいつも緊張の連続だ。


この日、さらなる難所が待ち構えていたが、それを全員が乗り切ることができたのはこの朝の海峡横断で消耗しなかったからだと思う。
村上隊長の観天望気に脱帽したのであった。


航海ログ
11月18日
07:00 ブリーフィング
07:20 倉橋島 亀ヶ首南岸 出発
09:00 下蒲刈島南岸 梶ヶ浜 到着
09:40 蒲刈島海峡 通過
11:05 上蒲刈島北東岸 赤石 通過
11:35 豊島 到着
12:20 三角(みかど)島 上陸休憩
13:40 出発
14:25 大崎下島北岸 到着
14:40 岡村島西岸 到着
15:00 岡村島観音崎の浜 上陸 終了

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