2013年5月24日金曜日

しまなみ海道潮流研修会1 ~船折瀬戸で瀬遊び~

2013年5月21日、22日に開催されましたJSCA主催「しまなみ海道潮流研修会」に参加してきました。

講師を務めるのは姫路にベースを構えるアクロス瀬戸内カヌースクールの阪井さんと、僕の師匠でもある伊勢志摩のパドルコースト吉角さん、そしてゲスト講師として長野県のUCDi ウクディパドリングスクール中村さんも駆け付けてくれました。


参加者は全部で5人。全員カヌー屋さん。
皆さんそれぞれ腕に覚えのある方々ばかりで、この研修会でいろいろと学んでいこうという意気込みが感じられました。
その証拠に、講師のほうから今日はヘルメットを被っていきましょうか、と言われると全員がきちっとヘルメットを着用していました。なかなかシーカヤックをする時にヘルメットは持参しないものですが、さすがと思える場面でした。

潮流の時間に合わせて8時半過ぎには伯方S・Cパークを出発しました。

一日目の課題は、実際に早い潮流の中でカヤックをしっかりコントロールすること。
目指したのはしまなみ海道のほぼ真ん中に位置する伯方島の南側にある鵜島の下、能島(のじま)周辺の海域です。

そこへ行くまでにもところどころ流れていたり湧き上がっていたり小さな渦ができていたりするところを通り越し、鵜島と能島の間の狭いところまでくるとまさに川のように流れているところがあり、流れを観察し、そして横切ったり、さらには漕ぎ上がったりして身体を慣らせていきました。


午前中は能島の南側にある流れのきついところで集中的にボートコントロールの練習をしました。
やることはいわゆるフェリーグライドという流れを横切る漕ぎ方・カヤックの操作です。
川での経験が多少はある僕も、シーカヤックという大きな船をうまく操作するのに苦戦し、そして川とは比べ物にならないパワーのある潮流という流れに怖気づき、大胆に動くことがなかなかできません。
そんなヘナチョコな状態は講師の方々にはバレバレで、ビビッてるだけだよ~と発破をかけられました。

そうこうしているうちに参加者の何人かが流れにカヤックを喰われてひっくり返ったりし始め、しなければいいのに海に手を差し入れて「冷たいなあ・・・」とネガティブ思考へ。お昼休憩に上陸するころまでほとんどいいイメージも掴めぬまま終わりました。

休憩後、中村さんがデモンストレーションを披露。


普段はリバーカヤック専門でシーカヤックにはほとんど乗っていないのに、午前中ビビッて苦戦していた流れをまるでせせらぎでも漕ぐように軽やかに横切り、漕ぎ上がるのを目の当たりにし、関心するだけではなく闘志も沸き起こり、その後は度胸をついてなんとなく流れの中でカヤックをコントロールすることができるようになりました。

最後にそこをみんなで漕ぎ上がり、今日の仕上げに船折瀬戸へ向かいました。

船折瀬戸は伯方島と鵜島の間にある海峡で、その名の通りしまなみ海道の難所の一つです。
僕は毎年参加している瀬戸内カヤック横断隊で何度も通過していますが、横断隊の時は一週間分の装備と食料を重積載してるので潮流が収まる転流時にしか来たことがなく、今回のようにまだしっかりと、がっつりと流れている船折瀬戸を見るのは初めてでした。

大河、という表現ですら納まらない圧倒的なスケール感。
この狭い海峡をどれだけの海水が流れ蠢いているのかを想像するだけでそのパワーが伝わってくるようでした。

岸沿いに反流を探しながら漕ぎ上がります。
そして吉角さんから、じゃあ渡りましょうかと気楽で気軽な言葉が出てきます。
やれやれ。さあ渡ってやろうと意気込むものの、ここは大型船が行き来する航路でもあります。
タイミング悪く数隻来てしまい、岸際の岩影のエディでやりすごし、いよいよみんなで渡り始めました。


見た目の激しさこそないものの、その流速は増水した川くらいはあり、漕ぐ手を休めれば瞬く間に下流へ流されてしまうでしょう。行き交う大型船も、上りか下りかでスピードがまるで違っていました。
慎重に、かつ大胆に漕ぎ渡り一安心。思ったほど大変でもなく、だんだんと潮流に慣れてきたのかもしれません。

ところが。今日の講習を終えさあ帰りましょうという時、突然僕のカヤックが後ろから引っ張られるような感覚に襲われました。力強く漕いでも前に進めず、カヤックはぐるりと回転し始めました。阪井さんに声を掛けられるまで自分になにが起こっているのかが分からず多少パニックになりました。
渦の仕業です。
ほんの直径1~1.5mほどの渦が僕のカヤックのスターン(後ろ側)を捕え、阪井さんいわくターンテーブルに乗ったように僕はゆっくりと回転していたそうです。
怖いですねえ。

こうして潮流をたっぷり?味わえ、帰路は追い潮に乗って伯方S・Cパークへ戻ったのでした。


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注)船折瀬戸に限らず、潮流の激しい場所でのパドリングは非常に危険です。
  今回の研修会は講師三名、そして参加者も全員カヌー屋さんで経験豊かな方ばかりでした。
  個人で、またはグループで安易に今回のような場所でパドリングすることは大きなリスクを伴うことをご理解ください。
  流れの中でのパドリングを練習したいシーカヤック愛好家の皆さま、ぜひ川へ行きましょう。
  本気で沈してしまい、真面目にロールをしなければならない経験は川では当たり前です。

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